卯三郎こけしについて About Usaburo Kokeshi

私たちの創造力の源は大地の懐かしさ

上毛三山を代表する榛名山。その東麓に開けた榛東村では、秋になるとぶどう郷の畑が一斉に色づき、ワイナリーには甘い果実香が漂います。遠く縄文の時代の茅野遺跡からは多くの耳飾りが発掘され、地中深くには古代人のロマンも眠る土地。「卯三郎こけし」の工房はそんな平和な里にあり、一体一体のこけしにはこの土地で紡がれてきた人の暮らしと、透明な空気感が刻まれていきます。周辺の山々には豊かな森林資源。木肌が白く木目が目立たない落葉高木「ミズキ」、木目が美しい高級素材「ケヤキ」をはじめ、「クリ」や「サクラ」など、優れた材質の原木に恵まれて、その持ち味を使い分けできることも木工人としての私たちの誇りです。首都圏の水源として「緑のダム」の機能を果たす群馬の森林。その神秘と、自然の山野が宿す母なる大地の懐かしさは、私たちの創作力の源です。

匠のこころで完成度を求めた、創業者岡本卯三郎。

卯三郎こけしの創業者岡本卯三郎は、大正6年榛東村に生まれ、昭和25年よりこけし創りを手がけました。ろくろ技術の製法に加えて、特殊機械の技法を取り入れ、筆による絵付けに彫刻や焼き絵を融合させるなど、新たな作風を開拓。立体感を表現できる焼き絵は卯三郎考案の新技法です。またケヤキやクリの美しい木目に魅せられ、こけしの新素材として注目。加工法の研究にも熱心に取り組みました。そして昭和54年、現在地に近代化も導入した工房を新設。手づくり工程と組み合わせて量産化にも対応できる体制を整え、全国販路と海外からの需要にお応えできるようになりました。原木を乾燥させ製材からの一貫体制で、ろくろ挽きから磨き、絵付、塗装、組立まで10段階の工程を経て、月産1万5000個の生産能力を有しています。現在、デザインを担当するのは6人の作家。初代卯三郎の薫陶を受け、匠の技の伝承にこころ燃やしています。

一刀ひと筆に想いを込めて、技術力とデザイン力を練磨。

群馬県は全国一の生産量を誇る創作こけしの産地です。昭和30年代には群馬県こけし協同組合が結成され、木地屋を含め100社近くの組合員を擁していました。東北の伝統こけしに対して近代こけしと呼ばれ、形状にとらわれない自由さを特徴とします。丸い頭のこけしからおかっぱ頭の童女への変遷は、その柔軟性の象徴でした。卯三郎が完成したこけしの基本形は、このおかっぱ頭にふっくらと円みを帯びた胴体。シンプルな流線の造形にどこかアルカイックな東洋美を宿し、そのデザイン性は海外市場でも評価される所以となりました。卯三郎こけしは現在もヨーロッパを中心に18カ国に直接輸出しています。また昭和36年第1回全群馬こけしコンクールが開催され、デザインの開発力と技術力が競われるようになりました。卯三郎こけしでも毎年出品、一刀ひと筆に思いを込め、全日本こけしコンクールでも多くの賞を受賞しています。

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